ものを大事にしてきた日本人

現代のような大量生産・大量消費社会では、「物を大切にする」という文化は失われつつあります。しかし日本には、もともと物を大切に手入れし、使えなくなったものは一度解体して再生させるなと、修理の文化と呼ぶべきものがありました。

ある浅草の靴修理工房は、他店で修理を断られたような靴も持ち込まれる有名な店ですが、すべて手作業で、オリジナルの履き心地を維持したまま修理をしていきます。その神業と言われる無駄な動きが一切ない職人技は、見てるだけでスムーズで美しい動きです。同じように、本の修理の様子を紹介したテレビ番組もありました。大学へ進学する娘へのプレゼントとして、一冊のボロボロの辞書を新品同様に再生する様子は、SNSを通じて海外でも大いに話題になりました。

修理の職人技に感嘆した海外での声

●素晴らしい腕前だね!
●動画を眺めていて、眠りに落ちそうだった。なんてリラックス効果のある映像なんだろう。
●なぜかわからないけど、見ていてとても気持ちがいい……。
●かなり興味をそそられた。シェアしてくれてありがとう!
●修理費は結構かかりそうだけど、それだけの価値がある仕事ぶりだと思う。
●とても根気のいる作業だが、これができる人ってなかなかいないだろう。
●われわれの文化に必要なのはこれだと思う。こうした職人技をもっとリスペクトすべきだ。

こうした職人技的な修理の対象は、着物、貴金属、時計、スーツケース、ぬいぐるみ、車などがありますが、いずれも機械化できない技で、物を大事にする心、魂を込める気持ちが見られます。

修理に対する日本人の情熱を表すもののひとつに、陶磁器を直す「金継ぎ」という技法があります。
これは、破損した陶磁器を漆で継ぎ、金、銀、真鍮、銅などで上化粧して直す伝統技術で、茶の湯が盛んになった室町時代、茶道の世界に始まったといわれています。注目すべきなのは、修復された陶磁器が芸術品のように美しいことで、その美的価値をもって物の価値をも高めるというデザイン力です。 割れて修復した傷跡は、美を意識した「景色」と呼ばれます。「金継ぎ」の思想や技術は、後継者不足によって年々失われつつあると言われています。

これもあるテレビ番組ですが、西アフリカのある町で、他国からの支援による車や船が暮らしを支えている様子が紹介されていました。それら物資はどれも品質が悪く、使い物にならないものがほとんどだったのですが、その地にはある日本人が働いていました。彼はたった一人で、それらを修理したりメンテナンスする技術を伝えていました。
こうした「修理の心」は、広く日本人に共有されているのではないでしょうか。

RIBERAL(リベラル)は、日本に伝わる
「物を大切にする心」「魂をこめる気持ち」を大切にしています。