ソーシャルビジネスについて知る

障がい者の雇用を事業の中心にすえたRIBERAL(リベラル)の取組みは、ソーシャルビジネスのひとつの成功例であると言えます。このページでは、近年、様々な例が出てきているソーシャルビジネスとはどのようなものか、ということについてわかりやすく説明します。

例えば、知的障がい者やホームレスを中心にしたビジネスも

本来、企業の目的は、経済的な利益を生み出すことにありますが、近年、社会的な利益に目を向け、それを経済的利益と同等とみなして事業を展開する会社が現れています。

例えば、パン製造販売を行うフランチャイズチェーンであるスワンベーカリーでは、知的障がい者の従業員一人ひとりの特性を見きわめて役割分担し、できることを増やすことを通して収益を増やし、多店舗展開しています。多店舗展開によって、就労機会の少ない障がい者の雇用機会がさらに増える仕組みです。同様に、有限会社ビッグイシュー日本では、ホームレスがオリジナル雑誌を路上販売する事業を展開しています。ホームレス状態に陥った人が販売を通して人との関わりや誇りを取り戻すことで、路上生活を脱し、自立への道を開くことが同社の事業の中核です。これらの企業にとって、障がい者雇用やホームレス自立支援などの社会的成果は、その企業が存在する目的となっています。

「困難な状況にある人」の潜在的可能性を引き出す

こうした例に共通しているのは、どちらも「困難な状況にある人」に注目していることです。知的障がい者も、ホームレスも、「できないこと」があると同時に「その人の得意なこと」を持っている存在です。ところが、そのような「できること」に、周囲も本人も気づいておらず、力を発揮できる機会を持てずにいることが多いのです。つまり、困難な状況にある人には、ない部分へのサポートだけでなく、その人の潜在的可能性を発揮できる機会を提供することも必要です。

潜在的な可能性を発揮できる仕組みを事業の中心に据える

ソーシャルビジネスを展開する企業では、事業そのものに、そのような潜在的な可能性に機会を与える仕組みが組み込まれていることによって、収益が生み出されます。

先にあげた障がい者やホームレスだけでなく、例えばシングルマザー、ニートなどの就労困難層、高齢者、貧困層など不利な立場の人たち、環境問題や開発途上国など、つながりが弱まった地域コミュニティといった人々に対しては、政府や行政の施策も十分に成果を出せていません。従来、このような課題の解決は、国や地方自治体、ボランティアが担ってきましたが、時代の変遷とともに様々な社会的課題が顕在化、複雑化し、従来の取り組みでは解決が難しくなっています。

住民やNPOなどの協力も得ながら、ソーシャルビジネスを推進する企業が増えていくことによって、行政にとってもコストが削減され、地域における新たな起業や雇用の創出等を通じた地域活性化につながります。

様々な社会的課題に対して、人の潜在的な可能性に注目してビジネスを設計し、開拓するソーシャルビジネスには、今、既存のビジネスの枠組みを乗り越える重要なヒントがあるのではないかと世界的な期待が集まっています。