RIBERAL(リベラル) 会社のあゆみ

障がい者の法定雇用率を上げるために立ち上げたRIBERAL(リベラル)。障がい者を戦力とするには何の事業が良いのか、作業の効率性を上げるためにはどうすればいいか。私たちはこういった課題をひとつひとつ解決しながら、お客様に喜んでいただいた声を楽しみに仕事に邁進しています。

すべてはここから始まった――障がい者の法定雇用率1.8%を達成するには?


※中居さんと初めてお会いした会議室。
今でもここが「リベラルの原点」です。

リベラルの親会社であるラディックス株式会社では、なかなか障がい者雇用が進まず、1.8%の法定雇用率(2007年当時)を達成できていませんでした。そこでラディックスの役員会で、新たな事業部を作って障がい者の積極雇用を行っていくことを決定しました。
まず、知恵を求めて相談したのは、ハローワークで障害者雇用指導部門に勤めていた中居紀二さん(現・一般社団法人障害者雇用企業支援協会 障害者雇用アドバイザー)でした。ご自身で特例子会社の社長を務められた方です。
そのとき、中居さんが障がい者採用を進めることについて語った一言が、今でも忘れられません。
「障がい者を雇用するなら、福祉として雇用するのではなく、必ず、戦力として雇用してください」
数年経った今でも、この一言は鮮明に覚えています。
早速、勉強を始めて、障がいの種類や、障がい者の雇用企業を調査しました。障がいの種類・特徴、特例子会社の業務内容を把握した結果、「知的障がい者に絞った雇用を行っていこう」と決定しました。

新会社「リベラル」として、やるべき仕事は何か


※特例子会社での知的障がい者に関わるグラフ

いろいろなことを調べていくうちに実感したのは、臨機応変(自由)に対応することの大切さでした。
健常者とまったく同じ規定で業務をするのは難しいと判断したため、事業部ではなく、親会社ラディックスの特例子会社として設立することを決定しました。
特例子会社とは、障がい者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定により、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受け、障がい者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社のことです。別会社にすることにより、障がいに応じた仕事の確保や職場環境の整備など、障がい者の方の能力を十分に引き出すことが可能になります。
そして、健常者、障がい者を問わず誰でも楽しく働ける、自由な環境を持ったラディックスを作り上げたいという思いから、「Liberal of RADIX」→「RIBERAL」という社名を付けました。
新会社を作ることは決めたものの、この時点では、肝心の「何をする会社なのか」ということはまだ決まっていません。「今はまだない、新しい仕事をしよう」と新規ビジネスを模索しましたが、これだ!というアイディアはなかなか出てきません。
「単純作業や反復作業が得意」という知的障がい者の特徴を生かせる事業とは何か――懸命に知恵を絞っていたときに、オフィスの片隅にあった汚れたコピー機を見てひらめきました。
「これを綺麗に磨くことは、知的障がい者にできるかもしれない…」
今にして思えば、この瞬間こそリベラルの始まりだったと思います。

会社としての自立、個人としての自立


※当時、社内プレゼン用に作ったフローの基本は、今でも変わっていません。

こうして中古OAの清掃及び販売を事業とするプロジェクトが始動し、本格的に新会社設立の準備に取りかかりました。
事業プランを練っている時、ハローワークの中居さんの「障がい者を雇用するなら、必ず戦力として雇用してください」という言葉を思い出しました。
彼らが会社に何らかのプラスをもたらすにはどうしたらいいか――?
「中古の機器を、中古と思えない綺麗な商品として創れば、売れるかもしれない。売れる商品を創れる社員は、きっと自立できる!」
そう考えた私たちは、
「日本一綺麗な中古OA機器を創ろう!」
という、今でも継続されている会社の指針を決定したのです。

リベラル始動、そして生産性の向上に向けて


※みんなで初めて磨いたコピー機!
うれしそうな笑顔です。

※月々の完了台数グラフ。
みんなががんばった結果です!

2008年4月1日に会社設立。同年6月より健常者2名、障がい者5名でリベラルはスタートしました。
初日は16時に終了しましたが、始めてのことだらけで、その後2時間ほど口もきけないほど疲れはててしまったことを今でも覚えています。
それでも、「日本一綺麗な中古OA機器を創ろう」をスローガンに、日々、機器の分解の仕方や清掃方法、清掃道具や洗剤等について、一つずつ、健常者・障がい者を問わず皆で「考え」、「試し」、「方法を確立」していきました。
入社当初はトイレに行くにも許可を求めていた従業員、雷が怖くて帰れない従業員、見学中に居眠りをした従業員、自分の名前を書けなかった従業員……今では全員、立派な社会人になりました。
仕事の仕方も、ライン作業からセル作業へと変更したり、「仕事とはかけた時間ではなく結果」と朝礼や終礼で何度も説明したり、生産台数を達成できたときはパーティーを開催したり、お客様からの感謝の言葉を社員全員に必ずフィードバックしたり、といった積み重ねによって、生産性は飛躍的に向上し、「より綺麗な商品を創造しよう」と社員全員で思うことができるようになりました。
江戸川区就労支援センターの荒川さんという方から教えていただいた障がい者雇用の3つの極意があります。
・のんき
・根気
・元気

私たちは今日も、この3つの極意+アルファで活動しています。

さらなる高みを目指して

さらなる生産性向上を目指す私たちは、法政大学及び株式会社カイゼンマイスター代表取締役の小森氏の協力を得て工程分析を行い、誰でも容易に作業完了場所を判別できる工程管理表を作成しました。
さらに、地域の特例子会社として、知的障がいをもっている人たちが、これから社会へ羽ばたいていくために社会経験をつむ場としても活用していただいています。コピー機のリファイニング業務を、都立白鷲特別支援学校をはじめとする12の支援学校での実習に組み入れていただき、リベラルの従業員を講師として派遣しています。また、社内での実習にも力を入れています。
リベラルのこうした取組みが評価され、RIBERAL(リベラル)は平成20年度に江戸川区産業賞を受賞し、平成23年度には東京都教育委員会事業貢献企業に、平成25年度には障がい者雇用優良事業所に選出されました。
リベラルの挑戦は、今後もまだまだ続いていきます。

私たちはいつも笑顔を忘れず、
さらなるサクセスストーリーを綴っていきます。